『此花咲哉』にはTIPSというギミックがあり、シナリオ進行上、重要な情報の多くは、このTIPSの中に込められています。
ですので、シナリオをスムーズに進行する上では、このTIPSをどう使っていくかがキモとなります。
TIPSの運用の仕方については、『GameDisk』で説明はさせていただいていますが、なにぶんTRPGではあまり一般的ではないギミックです。
正直、はじめはとても運用に困ると思います。
ということで、今回はこれまでのテストプレイから得られた経験をもとに、TIPSの運用についてのアドバイスを、幾つかお話ししたいと思います。
まず、プレイヤーがTIPSを獲得する条件ですが、要約すると……
①イベントを起こすこと。
②調査項目を指定すること。
③適切な演出を行うこと。
④適切なTIPS判定([絆判定]か[エゴ判定]いずれかはマスターが判断)に成功すること。
の4つの条件全てを満たすこととなっています。
書いてみると、結構簡単なことなのですが、ごめんなさい。
実際やってみると……意外とこれが曲者です。
というのも、TIPSを得るにあたっての「適切な演出を行う」という点。この感覚が結構掴みにくかったりするのです。
まず、プレイヤーの側から考えると、得られるTIPSがどういう形ででてくるのかわからないため、どういうアクションをすれば良いのかがわかりません。
どこを捜せばいいのか、誰に話を聞けばいいのか……情報の形がわからないので、そうした感覚が、なかなか捉えにくいのです。
結果、どういう演出をするのが適切なのか迷ってしまうことがあります。
一方でマスターの側から考えると、プレイヤーの演出に対して、どのようなTIPSを渡すのが適切であるのかが、悩みどころです。
TIPSは、何らかの資料の形をしたものから、個人の心情を小説調に述べたもの、日記、手紙に至るまでさまざまな形態が存在しています。
それも、たいていの場合、不自然な内容のものばかりです。これをどういう形でプレイヤーに渡せばいいのか……正直、迷います。
実際、どうしたものでしょうか?
やり方は、いろいろあるとは思うのですが、これに対しての、1つの答えは
「気にしないこと」
です。
『此花咲哉』は繰り返す5日間という、魔法に囚われた世界であり、プレイヤー達の最終的な目的はこの世界からの脱出です。
そして、実のところTIPSは、個々のヒロインルートの手がかりであると同時に、世界自体の矛盾の現れ……という意味合いもあるのです。
とすれば……不自然であるのは、さほど問題ではありません。むしろ好都合です。
内容が不自然なのですから、その出現方法も多少不自然であったとしても、そんなに気にする必要はないのではないでしょうか?
それに、例え渡したTIPSが、そのときプレイヤーが求めている情報そのものでなかったとしても、TIPSには、必ずやキャンペーンのヒントとなる情報が含まれています。
なので、そのときのプレイヤーが求めている答えにはならなかったとしても、まったく無意味なものにはならないはずです。
ごめんなさい。多少、開き直りの感はあるかもしれません(笑)。
が、『此花咲哉』のマスタリングを行う上は、それなりに有効な手段です。
気にせず、自信をもってTIPSを渡してあげてください。
また、マスターがもう1つ迷うのがTIPSを渡す順番です。
基本的には、現在入っているルートのTIPSの中から選んで渡すことにはなるのですが、それぞれのルートの中からどのTIPSを選ぶのかは、気を遣うところでしょう。
無論、TIPSとイベントには相互に関連性があり、適切なタイミングというものは確かに存在はするのですが……それを考えるとなると、全てのイベントとTIPSを頭に入れておく必要があります。
具体的にはイベント200個以上、TIPS100個(汗)。
やっていただけるのであれば、『此花咲哉』の面白さが増加することは保証しますが、正直、そこまでのお願いはできません。
ですので、これについても結論は1つ。「気にしない」
極端な話、ルートのTIPSの中で、番号の若いものから順番に出していく……とかでも、問題はありません。それでも、シナリオは回ると思います。
まあ、各ルートの核心に迫るTIPSについては、後回しにした方が話は盛り上がると思いますので、もし余裕があれば、これは核心かなと思えるTIPSについては、チェックをつけてルートの最後の方に回してみても良いかもしれません。
そして、最後にもう1つ、よく困るのがTIPS判定に使う[エゴ]です。
[絆判定]でTIPS判定を行う場合には、基本的にそのときにイベントを起こしたヒロインの[絆]を使えばいいので、さほど悩むことはありませんが、[エゴ判定]の場合だと、どれがTIPSを得るのに適当な[エゴ]なのかということで、判断に迷うことがあります。
これについては、基本的には[エゴ]の内容が字面的に当てはまると思われたら、その[エゴ]を使い、そうでなければ、その判定をするのに適切と思われる能力値に属する[エゴ](例えば、知識を問うなら[知性]に属する[エゴ]というように)を使うというように決めておくと割とスムーズに対応できます。
また、どうしても適切な[エゴ]がないと判断される場合には、次善の策として[ワザ]を使用することにしても構いません。ただ、[エゴ]で[TIPS判定]を行うことは、同時にキャラクターのリソースである[罪]を獲得させるチャンスを増やすという意味合いもありますので、可能である限り[エゴ]で判定できるときは[エゴ]を使用することをお勧めします。
というわけで、TRPGではあまりないだけに、馴れるまでちょっと厄介なギミック「TIPS」ですが、スタッフ的にはかなり気合いを入れさせていただきました。活用して楽しんでいただけたら幸いです。
そして、このTIPSを扱う上での、今回のキーポイント。もうおわかりですね? はい。
「気にしない」
です。
TIPSについては極端な話、シーン中に出しにくいようなら、シーンが終わってから渡してもいいと思います。
変に悩むくらいなら、割り切って渡してしまってください。
なんだかんだいっても、TIPSの一番大事な役割は「読んでもらうこと」なので(笑)。
【Na3】